代表挨拶・組織紹介

代表理事・会長就任にあたって


近年、海難(船舶事故)の発生件数は減少傾向にあるものの、依然として尊い人命や貴重な財産の喪失を伴う海難(船舶事故)は後を絶たない状況にあり、再発防止に向けた取組みが重要となっています。

当協会には、関係する行政機関として、国土交通省の海難審判所と運輸安全委員会の二つの組織があります。海難審判所は、海難の調査及び審判を行い、海技士、小型船舶操縦士及び水先人に対する懲戒(一定期間の業務停止など)を行うことで海難の再発防止を図っています。また、運輸安全委員会は、委員会方式により、船舶事故等の発生原因や事故による被害の原因を究明するための調査を行い、再発防止策・被害軽減策を提言、また関係行政機関等へ勧告・意見を述べることを任務としています。

当協会は、昭和43年7月に設立した財団法人海難審判協会を前身とし、平成25年4月に公益財団法人へ移行し、海事の発展に寄与することを目的として、「海難審判及び船舶事故調査に関する調査研究事業」、「海難関係人等の権利擁護事業」、「海難審判及び船舶事故調査に関する広報、周知啓発事業」の三つを柱とする事業を行っています。

具体的には、海難審判所の裁決、運輸安全委員会の船舶事故調査報告書を活用して、海難(船舶事故)防止にかかわる調査研究を行い、両行政機関の同一の海難(船舶事故)に対する捉え方や結論、そこから得られる教訓等を分かりやすく、比較しやすい形にまとめ、海事関係者に提供しています。また、海難関係人の権利擁護のため、海難審判で海事補佐人を依頼するための費用の援助や、海難審判等に関する無料の相談に応じています。さらに、毎月公表される裁決書や船舶事故等調査報告書の主要なものについて、1ページに要点整理し、ホームページに掲載するなどの広報、周知啓発事業を通じて、両行政機関において実施される各施策が少しでも多くの海事関係者に広まるよう側面から支援しています。

これら当協会の事業が、海難(船舶事故)防止の一翼を担うべく取り組むことで海事の発展に貢献してまいりたいと考えていますので、引き続き、皆様の温かいご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

令和7年6月16日

公益財団法人

海難審判・船舶事故調査協会

代表理事・会長 明珍幸一

 

組織図


下図のとおり、本部を東京都に、支部を札幌市ほか全国7市に置いています。また、各海難審判所及び運輸安全委員会の所在地の全国9か所に「公益財団法人海難審判・船舶事故調査協会相談所」を設置し、相談員を配置しています。